東京武蔵小山の洋食レストラン「銀嶺」のオーナーシェフだった伊吹貞雄さんが、大阪に本格珈琲を広めるべく、東京のお店を畳んでまで、大阪の新世界に珈琲専門店を開店しました。
それが、昭和九年創業の「丸福珈琲店」です。
伊吹貞雄さんは、焙煎機や抽出機も自作して、日本人向けの本格珈琲を作り上げます。
戦後は千日前に移転、平成2年に改築され、今の丸福本社ビルとなります。
店舗は今も、健在です。
笠置シヅ子さんや、緒形拳さん、田辺聖子さんや、六代目笑福亭松鶴さんなどの、著名人の方々にも愛されたお店。
店舗を増やしたり、提携したりせず、一店舗だけの運営に拘っていた伊吹貞雄さんですが、お孫さんでもある三代目の「時代に合わせた経営への転換提案」を了承します。
以後は、多店舗展開や商品開発にも積極的です。
非常に濃厚な味わいが特徴で、ホットなら、角砂糖をスプーンに乗せて、浸してから飲む。
アイスなら、ガムシロップで薄まらないようにあらかじめ加糖されたものを飲む。
それが「丸福珈琲店」の伝統的な飲み方です。
ブラックではなく、加糖で飲むのが戦前流ですね。
Photo by DaiOsaka Dolls